天冥の標 Ⅳ 機械じかけの子息たち

SF

こんにちは。ポメラニ・アンパンです。8月もあっという間に後半戦。暑さは相変わらず厳しいですね。暑くて何もやる気が出ず、食欲も失せてしまいがちなこの頃。僕は、あえてカレーを大量に作ってムシャムシャ食べてます。カレーは野菜と肉とが程よいバランスで食べれますし、ちょっと辛めに味付けすれば発汗作用も働くので元気になります!特に一日中エアコンの中にいる人にはオススメですよ。

ところでこの記事を読んでる紳士淑女のあなた!セックスしてますか?!オナニーしてますか?!「突然何を言い出しやがるんだ?気でも狂ったか?」と思わないでいただきたい。

今日紹介する作品を読めば、生物の根源的な部分であるリビドーを尊く、誇れるような気持ちになるかもしれません。小川一水さんの作品、天冥の標シリーズの第四章にあたります『天冥の標 Ⅳ 機械じかけの子息たち』です。

少年と少女のめくるめくセックス体験を綴った本作、天冥の標シリーズ中でも群を抜いてエロいです!本作だけは、僕はこう呼びたい。SF(Science Fiction)ではなくSF(Sexual Fiction)と。

この本を読んだきっかけ

天冥の標シリーズもここまで第三章まで読むとどんどん世界が広がっていく感があり、続きを読まずにはいられない状態になります。

第一章「メニー・メニー・シープ」で世界観の全体像がなんとなく見え、第二章から全ての発端となる疫病の蔓延が描かれ、第三章で宇宙進出した人々の物語が描かれます。第三章の時点で、体の一部を改造した「酸素いらずアンチ・オックス」なども出てきます。

そして本作第四章は、人間への性的奉仕を存在意義とするアンドロイドたち「恋人たち」ラバーズのエピソードです。

今までの各章の感想はこちら↓

あらすじ

救世群プラクティス」の少年、キリアン・クルメーロ・ロブレスは、自分が何者だったか、記憶がおぼろげなまま目を覚ました。目覚めたキリアンの世話をするのは一人の少女。美人ではないが笑顔が魅力的でふわふわの茶髪がなびく少女だ。少女は一糸纏わぬ姿で少年の世話をやく。少女はキリアンの肌にジェルを塗り、エコーでキリアンの体に異常がないかをチェックする。彼女が言うには、キリアンは事故に遭遇し、命の危険があったという。

そんな状況下で、思春期のキリアンが欲情しないはずがなかった。少女もキリアンを否定するどころか、キリアンの気持ちに答える。「そういうのも、いいよ。」少年と少女はたどたどしくも、互いの体に触れあい、愛撫しあい、互いのその部分に刺激を与える。

二人はどんどん熱く高め合い昇りつめ、絶頂に達した。互いに相手のすみずみまで入り込もうとし、相手のすみずみまで手に入れようとした。完璧な同調と達成感を得たセックスだった。

少女の名はアウローラ。アウローラにはゲルトルッドという姉がいる。こちらはスラリとして目鼻立ちがくっきりした黒髪の美女だ。ゲルトルッドもキリアンに「今からでもお相手してあげる」と言うのだ。

キリアンは自分が何者なのかを思い出した。「救世群」・・・冥王斑という疫病を保菌する集団の一人だ。はたとそのことに気づき、今まで自分がしていたことを自覚し驚愕し戸惑う。冥王斑保菌者の自分が、他人に防護措置なしで触れ合ったのだ。その事をアウローラに告げるも、彼女は気にするそぶりもなく「私は大丈夫だから」と微笑んだ

キリアンの心に彼女らへの得体の知れない不信感が募った。なぜなら、彼女はやたら性に奔放なのだ。厳粛な掟の中で暮らしてきたキリアンには、信じられないほど。その後、幾度となく自分の記憶が曖昧になり、気づけばキリアンは様々なシチュエーションや場面でアウローラと出会い、セックスをした。なぜか、いつも記憶が途切れ、まるではじめて体験するかの如く、アウローラに初めて出会う。そして、用意されたシチュエーションの中で、必ずアウローラと体を重ねる。幾度となくそれを繰り返しては、記憶が途切れ・・・また異なるシチュエーションでアウローラと体を重ねる。まるでより良いセックスを求めるかのように。どんな交合の後も必ずアウローラはキリアンにこう尋ねた。

「キリアン、満足してくれた?」

幾度も幾度もアウローラとセックスを繰り返すうちに、キリアンの不満と苛立ちも蓄積されていった。セックスそのものはいつも押し流されてしまうほどの誘惑と恍惚、快感を得られた。しかし、終わった後の虚しさも増えていった。アウローラに好きな食べ物を問うても「あなたと食べるなら何でも」、憧れた人を問うても「いなかった気がする。あなたに会うまでは」と、人らしい答えはついにアウローラからは返ってこなかった。

いくつもの疑念を抱えたままのキリアンは、突然「聖少女警察バージン・ポリス」を名乗る少女達に襲撃される。彼女達のリーダー、エルンゼアナ・ボルテージの出立ちは、趣味の悪い天使のようだった。後輪と翼はひとめで作り物だとわかり、腕や足には過剰なほど武器を装備しつつも体はレオタードのような衣装だけというアンバランスさ。だが物理的な攻撃力、腕力はアウローラでは歯が立たないほど強力で、キリアンは拉致される。そこでキリアンはアウローラ達について知らされる。彼女達は「恋人たちラバーズ」。機械でありながら人への性愛に存在意義を見出す有機的ロボットたちだ。

聖少女警察バージン・ポリス」は、「恋人たちラバーズ」に溺れる人間を救い、みだらな行いをしないよう更生させるのが役目だと言う。この後キリアンは「聖少女警察バージン・ポリス」監督下のもと、更生の過程の一つとして獣人型蛋白ロボットに犯されるという耐えがたい屈辱を受けながらも、からくも脱出する。途中サーチストリームなる存在の介入もあり、キリアンはアウローラ達のもとへ帰還する。そしてアウローラがメンテナンスを受けているところに居合わせ、彼女達が本当にロボットだとわかった。

恋人たちラバーズ」は大師父と呼ばれるある工芸・美術に秀でた一人の男が作り上げた存在だった。その大師父は、最初の彼らを造った時こう言ったという。「人を守りなさい、人に従いなさい、人から生きる許しを得なさい。人は性愛を求めるものである。だが人がそれ、性愛に満ち足りることは少ない。だからそれ、性愛の奉仕をもって人に喜ばれなさい」この言葉が「恋人たちラバーズ」を規定し、人に喜ばれるために、ありとあらゆるセックス、シチュエーション、プレイについて探究する事となる。そして彼らは増え、来訪するゲストの性的趣向に答えるためその研鑽を磨いてゆく。

恋人たちラバーズ」が居住するハニカムの全容を聞かされたキリアンは驚く。主星ヒギエアから300万の位置で公転する小惑星が「軌道娼界オービタル・ブロンド」と呼ばれるハニカムだ。ここに「恋人たち」5,515体が可動し、ゲストの相手となるキャストとして性の奉仕を行っている。「恋人たちラバーズ」最初の十体のうちの一体である男性型「恋人たち」のラゴスが、彼らの体をメンテナンスしたり、新たな「恋人たちラバーズ」を生み出す工房を管理していた。かつての地球上に存在した建築様式や美術を参考に、ありとあらゆるものを造るラゴス。ラゴスはキリアンに工房の様々なものを見せた。

ポメラニ・アンパン
ポメラニ・アンパン

恋人たちラバーズ」は新しく生まれた者が敬われる。新しく生まれた個体は、それまでの個体の情報を全て引き継ぐ。だから最も長く稼働している「恋人たちラバーズ」の一体、ラゴスは他の「恋人たちラバーズ」から蔑まれている。

ハニカムの特徴の一つとしてHSKゲートがある。シーンを再現する部屋に設置してあり、このゲートをくぐると記憶の一部を消去できる。これによりゲストは毎回新鮮な出会いを体験できるのだ。キリアンが目覚めたばかりの頃、記憶が途切れ途切れだったのはこのHSKゲートを使用していたからだ。

そんな、軌道上の楽園ともいえる場所であるハニカムに、危機が訪れる。性欲を喚起させるあらゆる物事を嫌う勢力から送り込まれた人型ロボットが襲来する。倫理兵器。二体一組で稼働するそれらの一体は女性型。大きく広がったスカートの中に大量のランドバラージを格納した純潔チェイスト、もう一体は背の低い老人のような風貌。自身の身長を大きく超える杖の先に、刃物を携えた車輪が回転する武器を持つ遵法ロウフル。ロボットでありながら人に似た感情を持つ有機的な「恋人たちラバーズ」とは真逆の存在。無機質かつ硬質。感情は持ち合わせておらず、性的興奮した人間を感知するセンサーを備えており、発見次第現場に急行。人間を性的興奮せしめた存在「恋人たち」を徹底的に破壊するのだ。そして破壊の限りを尽くされた現場で呆然と取り残された人間を保護するのがかのロボットの目的。「麗しかれかし、清かるべし」それが倫理兵器が唱和し、彼らを送り込んだ勢力のスローガンだ。

恋人たちラバーズ」の存在そのものを否定する倫理兵器の出現に、アンドロイドたちは浮き足立つ。大師父は現れず、統率が取れない。だが敵の侵攻を止む事はなく、倫理兵器の攻撃はハニカムを削り取ってゆく。このままではハニカムごと皆やられてしまう。援軍の必要を感じたキリアンは、「救世群プラクティス」と「酸素いらずアンチ・オックス」に頼る事を決めた。「救世群プラクティス」に対しては、タブーを犯し出奔したキリアンにとって、恥を忍んで謝罪と新たな仲間たちの危機を救って欲しいと手紙を送った。

そして「酸素いらずアンチ・オックス」の艦隊が援軍として急行、倫理兵器を爆砕して、簡単な聞き取りの後は持ち前のフットワークの軽やかさ見せつけるかのように去っていった。その後、「救世群プラクティス」来訪した。

この一連の動きの後、「恋人たちラバーズ」と「救世群プラクティス」の交流が活発になってゆく。

この作品の要素・成分 (最低値=1 最高値:10)

雰囲気

破壊、殺傷、銃撃戦、ハンマーでぶん殴る、キス、フェラ、愛撫、特殊プレイ、性器をこすりつける、性的興奮、おっぱい、ペニス、アンドロイド、四十八手、カーマスートラ、獣姦、記憶操作、絶頂、無重力での行為、猥褻、触れない絶頂、石像プレイ、フュージョン、マージ、合体、うずき。

前作「天冥の標Ⅲ」と時間軸的にはそれほど隔たっていないが、主役は「救世群プラクティス」の少年と究極のセクサロイド「恋人たちラバーズ」の面々。冒頭でエッチな事をしているカップルを恐怖のどん底に突き落とす無機質なロボットが出現。どんな話になるかと思いきや、全521ページ中100ページ以上は間違いなくセックス描写がある本作。家族がいるリビングとかではとても読みづらい(笑)。

しかし、第一章「メニー・メニー・シープ」で重要な立ち回りをしたラゴスが本作では、「恋人たち」の工房管理者として出てくる。全体的にエロエロな章だが、天冥の標を語る上で、非常に重要な要素が散りばめられている。例えば、三章に出てきた「酸素いらずアンチ・オックス」や冥王斑がきっかけで隔離生活をする「救世群プラクティス」の人々、これらの勢力を結びつけるのが本作である。

読みやすさ:6 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

文章としては凄く読みやすい。今回は環境要因と本作の主題のせいで、読みにくい。僕は職場の休憩時間にこれを読んでいたけど、少年と少女が夢中でセックスするシーンを読んでいて、「僕はこんなところで何を読んでいるんだろう・・・」と思った事がないわけではない。

ワクワク度:8 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

アウローラ可愛いし、セックスしまくった挙句どうなるのかと思って常にワクワクできる。

ハラハラ度:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

冒頭の倫理兵器の襲撃シーン、聖少女警察たちの襲撃、キリアンを犯す獣、襲撃を受ける「恋人たち」・・・結構ハラハラする場面は多い。危険が多い。

食欲増幅度:1 ⭐️

食欲はあまり湧かなかった。

冒険度:3 ⭐️⭐️⭐️

キリアンが訳もわからないままアウローラとセックス三昧になり、主体的な動きが少なかった主人公キリアン。なので、冒険度は低め。

胸キュン:8 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

救世群プラクティス」ゆえに人と直接肌を触れ合う機会がほとんど持てなかったキリアンが、何の気兼ねもなく肌を重ねられたのは感染症の影響が及ばないアンドロイドの少女だった。少年と少女の愛と性行為が見ていて面映いし、羨ましいのもあるし、もう読んでて大変。胸キュン+頭が沸騰しそう。

ページをめくる加速度:8 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

結構物理的な戦闘シーンも多い本作。倫理兵器の慈悲を一切感じられない徹底破壊っぷりに対し、懸命に対抗する「恋人たちラバーズ」の面々も勇ましい。アウローラは弓で、ゲルトルッドはハンマーで、皆それぞれ得意な武器を手にして戦う。

戦いとセックスシーンがドカドカ描かれている本、どんどん読んでしまうよ!

希望度:8 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

得体の知れぬアンドロイドたちの中に放り込まれる格好となったキリアンだったが、「恋人たちラバーズ」と関係を深めていく中で、切っても切れない縁となった。キリアンも「恋人たちラバーズ」互いに必要とされる存在となり、共存していくところは種族を超えた絆を感じられる、希望に満ちるエピソードだ。

絶望度:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

絶望的に強い倫理兵器。「恋人たちラバーズ」の一人スキットルが撃つ徹甲弾ですらダメージを与えられない。絶望的な状況は、キリアンが自殺を考えるほど獣人にされるがままにされてしまう場面だ。自分なら絶対に体験したくない。

残酷度:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

ゲストな望むプレイの中には陰湿かつ残酷極まりない類いのものもある。本作はこの他にも残酷というよりもエログロな描写が他の章よりも多め。

恐怖度:6 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

本作は結構怖いところは怖い。倫理兵器なんてちょっとエロい事を考えたら「寮母の小耳」というセンサーで感知して襲ってくるんだから、今の僕達の世界に投入されたら人類は絶滅してしまうかもしれん。まあ、人に直接危害を加えるのではなく、性欲を誘発したエロコンテンツを軒並み叩き壊しにくるんだろうけど・・・。どっちにしろ恐ろしい!

それと、何度もセックスをしてそのたびに「満足した?」と聞かれるのは、恐ろしいのではないか?と思ってしまった。

ためになる:4 ⭐️⭐️⭐️⭐️

人は綺麗事だけでは立ち行かない、本作を読んでいて本当にそう思う。物の見方や価値観を入れ替えるだけでその評価はガラリと変わるのだ。「恋人たち」が至高のセックスを目指したように。彼らにとって、それは尊く、価値ある物なのだ。

僕はことさら水商売や風俗を侮蔑する輩は嫌いだ。彼らにしたって仕事でやっている。それにお世話になる人間もいる。人を職業で差別、侮蔑する輩とは仲良くなれない。僕は「恋人たちラバーズ」と仲良くなれるだろうか。もしいるなら彼らと仲良くなりたい。

泣ける:3 ⭐️⭐️⭐️

泣けるシーンはあんまり無かったかな。キリアンへの思いをひた隠して、アウローラに嫉妬のあまりひどい事をしたゲルトルッドが少し不憫に思った。

読後感:6 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

最後はなかなか末広がりな雰囲気で終わったのが良かった。今回再読して思ったのは、この第四章ってこんなに面白かったんだ!って事。

誰かに語りたい:6 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

性愛、もといセックスについて語りたくなる。まあ、語る相手がなかなか見つからんかなぁ。

なぞ度:2 ⭐️⭐️

そういえば聖少女警察バージン・ポリスのまとめ役のおっさんが、なぜウルバーノと同じ顔だったのか説明なかったなぁ。謎といえばこのくらい。

静謐度:1 ⭐️

喘ぎ声と叫びと悲鳴と縦断で騒々しい。

笑える度:3 ⭐️⭐️⭐️

キリアンとアウローラの無重力セックスを改めて想像してみるとちょっと笑ってしまう。相当大変だろうな、と思った。取手につかまっていないと、体が流れていってしまうよな〜。

切ない:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

最後の方でセックスをするのは「子を残すため」という生物の基本に立ち返ったとき、それをする事ができない「恋人たち」の哀しさ。彼らがどんなに技巧を凝らして研究して最高に満足できるセックスを実現できたとしても、それは生物の子孫を残すという行為の真似事という一線をどうしても超える事ができない。これは、なんともやりきれないほど切ないと思ってしまった。

エロス:9 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

よくもまあ、ここまでいろんなシチュエーションを考えたなぁ、と思えるほどバラエティに富んだセックスが繰り広げられる。ドキドキするものから、「おいおいマジかよ・・・」と思うものまで。当初のアウローラ達の目的は、キリアンを満足させる事だった。次第に、至高のセックス「混爾マージ」を目指すようになる。

キリアンとアウローラが実践したプレイの中には、僕もやってみたいと思うプレイと、やりたくないプレイが約半数ずつあった。

データ

タイトル天冥の標 Ⅳ 機械じかけの子息たち
著者小川一水
発行元早川書房
コードISBN978-4-15-01033-2

まとめ

天冥の標第四章、機械じかけの子息たち、堪能しました〜!

再読なんだけど、やっぱ超エロい!!もう、エロすぎる!『僕もハニカム行きたいわ〜』と思いながら読みました。特に凄いのがHSKゲートによる記憶を消して、同じキャストとする時でも新鮮な出会いを感じる事ができる、って。「恋人たちラバーズ」は来訪するゲストの趣味趣向を研究し尽くし、理想に近いシチュエーションと相手を提供してくれるって最強の風俗じゃねーかーーー!!

人間、禁じられる事ほどやりたくなるんですよね。パンドラの箱しかり、鶴の恩返ししかり。

ましてやセックス。セックスは禁じられていませんが、一般的には表立って昼間から大きな声で話さない方が良いとされていますよね。なぜでしょう。ふと考えると不思議だなと思います。なぜなら「子孫を残す重要な事」であるだけでなく、「性的な快感を得る」、「パートナーと愛を育む」、「健康のため」・・・このようにセックスは良い事もあるのに、まるで全てを覆って「セックスに関する話はタブー」のようになってますね。なぜこうなったのかその理由は、僕にはわかりませんが、もうちょっとオープンにセックスの話ができた方が、世の中うまく回りそうな気がします。

とにかく、本作を読んで色々な感想を持ちました。上記に述べたセックスに関してもそうですが、人と非生物(ロボット)との共存。これからもっとロボットは僕達の身近な存在になるでしょう。それに、感染症を持った保菌者の人達との関わり方。ここに描かれているのはもちろんフィクションなので、正解ではありませんが、何かしら今後を生きる僕達のヒントになるようなものがあるような気がします。

麗しかれかし、清かるべし」そんな言葉で素直になるほど、人間ってのは透き通ってはいないんだよ。もっとドロドロと溢れ出そうとするリビドーを抱えて疼いている、れっきとした「生き物」なんだよ!

そんなメッセージが本作の裏にあるように思えました。

気になったフレーズ・名言(抜粋)

「アウラ。おまえ、どんな食べ物が好きなんだ」

「なんでもよ。あなたといっしょに食べるなら」

「昔、あこがれていた人がいた?」

「いなかった気がする。あなたと出会うまでは」

声に声が返ってくればよかった時期はやがて終わった。一貫した記憶を持てるようになると、不満が積み重なった。アウローラの好きな食べ物がわからない。アウローラが親しい人のことを話してくれない。彼女から、意味ある答えを何ひとつ引き出せない。

天冥の標 Ⅳ 機械じかけの子息たち p.109

うん、キスしたいね。キス、ペッティング、フェラ、クンニ、体表内外や衣服周りでの射精、それからええと……アナルプレイにソフトSMぐらいなら、もうやった。衣装も場所も体位もたいてい試した。落ち着いて!動かないで。冷静に考えて!

アウローラ
天冥の標 Ⅳ 機械じかけの子息たち P.118

そういった発見のうち、重要なもののひとつが、人は複数の性的対象を欲するいっぽうで、対象には節制を要求する、ということだった。男であれ女であれ、奴隷を複数求めるということよ

ゲルトルッド
天冥の標 Ⅳ 機械じかけの子息たち p.180

どこの国でもクソ正義なクソ有識者の作ったクソ法律が禁じているから、できるはずのファックの五パーセントもできねえ。みんなやりたがるはずさ

スキットル
天冥の標 Ⅳ 機械じかけの子息たち p.270

このうずきが私たちを生かしてきた、これが生物というシステムを、億年を超えてはるかに存続させてきた衝動なのだ


天冥の標 Ⅳ 機械じかけの子息たち p.520

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