ダ・ヴィンチ・コード

サスペンス

こんにちは。ポメラニ・アンパンです。8月に入って急に梅雨が明け、激烈な暑さが来ましたね!

あなたは生きてますか?!

かくいう僕も汗っかきで暑さには弱く、毎日がとても苦痛です。汗でベトベトになった服、湿気でジメジメ&焼きに来てる日光・・・もうね、朝出勤する時扉を開けるのも嫌・・・。

そんな僕は仕事から帰ってくると、コーヒー飲んだりビール飲んだりしながらエアコンがんがんかけて読書するのが一番の楽しみです!あなたはこの夏、いかがお過ごしでしょうか?

さて、今回紹介するのは、大・・・大・・・大ベストセラーになったあの作品、映画にもなりました。

そうです!ダン・ブラウンの著作『ダ・ヴィンチ・コード』です!

何を今更、と思われるかもしれませんが、僕は今まで映画も原作にも全く触れていないんですよ。『ふ〜ん、ダ・ヴィンチ・コードってのがヒットしてるんだ・・・。どうせ最も信用できない全米ナンバー1って奴だろ?』と思っていました。

ごめんなさい!天邪鬼な僕はベストセラーを避ける傾向がありますが、本作は完全に良い意味で裏切られましたね。読めて良かった〜!!

この本を読んだきっかけ

冒頭でも言いましたが、僕はベストセラー本をなんとなく避ける傾向がありますが、中古本販売店舗で本作のタイトルを見て『そういえば映画も観た事ないし、読んでみるか』と思ったのがきっかけですね。安かったし、本の状態も綺麗だったので買いました。結果、大大大正解!!!

あらすじ

ルーブル美術館の館長、ジャック・ソニエールが殺害された。現場には、彼が残したと思われるダイイングメッセージがあるのだが、ある種異様な光景だった。ジャック・ソニエールは全裸で仰向けに横たわり、手足を翼のように広げている。まるで、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた『ウィトルウィウス的人体図』のように・・・。そして、自らの血で描いたと思われる五芒星が彼の腹の上にあった。

ウィトルウィウス的人体図 (レオナルド・ダ・ヴィンチ)

本作の主人公にして象徴学の専門家、ロバート・ラングドンは講演会のためフランスのホテルで休養をとっていたところを電話で起こされる。ラングドンにとっての招かれざる客は、フランス司法警察だった。ルーブル美術館館長、ジャック・ソニエールが殺された事件について、操作に協力して欲しいというのだ。疲れが取れぬまま、渋々と警察に同行するラングドン。

現場に赴き、司法警察中央局の警部ベズ・ファーシュに案内され現場を見る。あらかじめ写真でジャック・ソニエールの死体を見ていたとはいえ、本物を見たラングドンはやはり衝撃を覚えた。ベズ・ファーシュ警部はラングドンに問う。なぜ腹に五芒星が描かれていて、どんな象徴的意味合いがあるのか。なぜ被害者は全裸になったのか。ラングドンは、象徴学専門家の立場から一つ一つ驚きながらも答えてゆく。しかし、ベズ・ファーシュが次いでラングドンに見せたのはブラックライトを当てて初めて視認できるメッセージだった。

*メッセージは作品を楽しむ上で重要だと思ったので、見たい人だけ下のボックスの黒い部分をマウスでハイライトしてください。

ネタバレ防止 (枠の中をハイライトすると見れるようにしています)

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O, Draconian devil!

Oh, lame saint!

この暗号めいたメッセージが何を指すのかわからない警察は、暗号解読班を招聘。目の前で次々と起こる衝撃的な内容に、ショックを受けながらも暗号の真意を考えるラングドン。

そこに、暗号解読班の女性ソフィー・ヌヴーが到着する。ソフィーはファーシュ警部に気取られぬようラングドンをトイレに呼び出し、ファーシュ警部はラングドンを第一容疑者と決めつけて逮捕するつもりだから、ここから逃げるよう言う。

さらに彼女は殺されたジャック・ソニエールの孫娘だと言うのだ。彼女は幼い頃から、謎かけやアナグラム、クイズといった事を祖父のジャック・ソニエールから手ほどきを受けていた。そんな彼女でさえ、あの謎のメッセージを理解するには至らなかった。

はたとラングドンがそのメッセージの法則に気づき、次のキーワードが浮上する。

・・・このようにラングドンとソフィーは、ジャック・ソニエールの残したメッセージを皮切りに、次々とその謎を追い、答えが解けたと思えば次なる謎が浮上してくる。

浮上してくる謎と関連するキーワードから、ラングドンはこの謎の行き着く先には、キリスト教を揺るがす伝説の聖杯だと考える。しかし、ラングドンとソフィー二人だけでは、警察に追われながら謎を解き明かす事に集中できない。そこでラングドンは、聖杯探究の第一人者として名高いリー・ティービングを頼る。

ティービングの協力を得て、警察の追跡を退け、さらなる手がかりと謎を追うラングドンとソフィー。

舞台はフランスからイギリスまで広がってゆく。


ラングドン達とは別に、ある目的を達しようと動く勢力がある。キリスト教の一組織であるオプス・デイ。オプス・デイの司教アリンガローサ、同組織に所属する修行僧のシラス、そしてシラスに指示を出す導師と呼ばれる謎の人物。

物語冒頭で、ジャック・ソニエールを殺害したのはシラスだということが読者にはわかる。オプス・デイの真の狙いは見えにくく謎に包まれている。シラスがジャック・ソニエールを殺害したのは、ジャックがシオン修道会の総長だったからに他ならない。ジャックを含むシオン修道会の幹部四人がシラスによって殺されている。シラス達、オプス・デイはその目的のためにジャックを殺し、謎を解こうとするラングドン達に接近する・・・。

ラングドン達はジャック・ソニエールが命をかけて残した謎を解き、答えに辿り着けるのか。

迫るシラス達オプス・デイの真の目的は・・・。

・・・そして、全てを繋ぎ誘うレオナルド・ダ・ヴィンチの作品に込められたメッセージとは・・・。

この作品の要素・成分 (最低値=1 最高値:10)

雰囲気

象徴学、キリスト教、秘密結社、悪魔崇拝、女神崇拝、美術品、ルーブル美術館、聖杯伝説、マグダラのマリア、最後の晩餐、モナ・リザ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、フランス、イギリス、薔薇、謎解き、アナグラム、フィボナッチ数列、黄金比、1:1.1618・・・これらのキーワードが所狭しと躍る、歴史と宗教学、伝説と秘宝を題材にしたエンタテインメント・ミステリー・サスペンス小説。

象徴学の権威ラングドンが主人公ということもあり、五芒星や薔薇、黄金比など象徴的なものをどう読み解くか、といった内容が事件と絡んでいる。殺人事件に端を発する本作の物語は、いつしか伝説の聖杯を探訪するという目的にシフトしてゆく。

読みやすさ:9 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

これでもかと言わんばかりの語彙が出てくるが、主人公ロバート・ラングドンがわかりやすく説明してくれるので、読み手はただ読めば良い。ルーブル美術館やウェストミンスター寺院、ロスリン礼拝堂といった名だたる名所が出てくる本作をただ感じれば良い。

ワクワク度:9 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

誰でも知っている天才、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品に謎が隠されている・・・。これだけでもうワクワクしてしまう。さらにはオプス・デイやシオン修道会といったあまり馴染みのない勢力の思惑がぶつかり合う・・・。何も起こらないわけがないよね、と思わせるワクワク感がたまらん。

ハラハラ度:8 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

冒頭の殺人描写、ラングドンが警察に追われる事になる、ラングドンとソフィーが謎を解明するに連れて危険な香りが漂ってきそうな雰囲気、シラスの接近・・・。ハラハラ要素満載!

食欲増幅度:2 ⭐️⭐️

残念ながら美味しそうな食事の描写はほとんど無い。

胸キュン:5 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

理知的で象徴に詳しく謎を解くラングドン、一方で幼い頃からクロスワードや謎解き、アナグラムを楽しんでいたソフィー、共に謎を追い、助け合った男女に何も起きないなんて事があるだろうか。

ページをめくる加速度:9 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

怒涛のように押し寄せる語彙。読んでてこれほどエキサイティングな瞬間は無い。語彙が押し寄せる中、モーゼのようにその語彙と象徴が指し示す内容を語ってくれるラングドン。もっともっと!とページをめくる手が止まらない。

希望度:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

ラングドンが解き明かしていく謎の中で、男女の融和や女性を敬うべき存在とする、という今まで僕が抱いていたキリスト教のイメージと正反対の内容が描かれていた。キリスト教の人にとっては、イエス・キリストが普通の人間である、とするシオン修道会の主張(作中の話です)は、認め難いだろう。しかし、僕はむしろそのほうが親近感が湧いて良いな、と感じた。イエスも人間の男性で、マグダラのマリアと結婚して子供がいて・・・。じゃあ、もしかしたらイエス・キリストの子孫もどこかにいる、そう思える方が希望を持てないだろうか?と思うのは僕が無宗教だからかな。

絶望度:2 ⭐️⭐️

絶望的な描写はあまり感じなかった。絶望というより驚きはあった。

残酷度:2 ⭐️⭐️

そこまで残酷な描写はなかった。

恐怖度:4 ⭐️⭐️⭐️⭐️

高度すぎる謎、それを解くラングドンもさることながら、それを仕掛けたジャック・ソニエールが凄い。オプス・デイやシオン修道会が何を目指しているのかがわからない中盤あたりまでは得体の知れぬ恐怖がある。人は未知のものが怖いとはよく言ったものだ。

ためになる:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

もうね、ルーブル美術館に行きたくなる。フィボナッチ数列とか言われたらもう一回生まれ変わって、学校で算数をちゃんと勉強したくなる。象徴学にも興味が湧く。とにかく出てくる場所が全て実在するので、行ってみたい。Google マップで景観を見ることはできるけど、やはり実際に行ってみたくなる。

それにアナグラムは本当に僕のような文系だと全く解ける気がしない。あれを考えた人、本当に尊敬します。

泣ける:4 ⭐️⭐️⭐️⭐️

おばあちゃんに会えた所。

読後感:9 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

最後の最後は驚くほど静かに終わる。警察に追われ、銀行の支店長に銃を向けられ、飛行機で移動し、寺院を散策・・・とにかく激動の日々を送ったラングドン。

ここまで起伏をつけて最後はそっと本を閉じたくなるような、逆に言えば最後まで物凄く丁寧な印象を受けた。しばらく忘れられない。

誰かに語りたい:5 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

ベストセラーだし、映画化もしたし、あえて今僕がオススメする必要は無いかな。あえて言うなら、読んでない人は読めば。楽しいよ!

なぞ度:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

物語中謎だらけ。しかしほとんどの謎はラングドンとソフィーが解くので、読後感はすっきり。高度な謎に振り回される作品も悪く無いです。ちなみに僕は、導師の正体に目星をつけていたのですが、見事に外れました(笑)。

静謐度:4 ⭐️⭐️⭐️⭐️

ラングドンが一人で思考する場面や、夜のルーブル美術館の様子、観光客が少ないテンプル教会など、静謐さを味わえる場面があるのも魅力。

笑える度:3 ⭐️⭐️⭐️

逃亡するために奪ったタクシーの運転席に座ってから叫ぶラングドン「オートマチックしか運転できないんだ!」は、笑った。

切ない:3 ⭐️⭐️⭐️

ソフィーとおじいちゃん、ジャック・ソニエールのわだかまりが解けないまま死別しなければならないのは切ない。

エロス:1 ⭐️

無い。

データ

タイトルダ・ヴィンチ・コード
原作タイトルTHE DA VINCI CODE
著者ダン・ブラウン(Dan Brown)
訳者越前 敏弥
発行元角川文庫
コード(上)ISBN4-04-295503-7
(中)ISBN4-04-295504-5
(下)ISBN4-04-295505-3

まとめ

読みましたよダ・ヴィンチ・コード!いや〜、凄く面白かった!さすが全世界で大ベストセラーになったというのも納得です。

まず扱う題材がレオナルド・ダ・ヴィンチ。これだけでちょっと「おお!」と興味を惹かれますね。ダ・ヴィンチはおそらく世界で一番有名な画家・発明家でしょう。『モナ・リザ』や『最後の晩餐』はあまりにも有名ですね。そのダ・ヴィンチの作品には昔から『何かあるんじゃないか?』と言われ続けていたようですね。本作はそうした噂や口伝などに加えてキリスト教を絡めて、さらには聖杯伝説までも絡めて物語が進むのです。

正直僕は読む前はあまり期待していませんでした。僕は本作の映画も観ていないのでストーリーは全く知らず、作品名しか知らなかったのです。しかし、それが吉と出ましたね。映画でストーリーを知るま前に、本を読んで良かったと思いました。これだけ重厚な物語は自分のペースでじっくり追っていくほうが良いからです。

ストーリーの展開も、どんどん読んでしまう引力があります。一難去ってまた一難、ひと謎解いてまたまた謎、追われるラングドン追う警察、ソフィーとおじいさんの関係性・・・そういった人物ドラマを、これでもかという程のキーワードをブースターにして物語はどんどん加速してゆくのです。

レオナルド・ダ・ヴィンチ、黄金比、ローズライン、五芒星、マグダラのマリア、イエス・キリスト、フィボナッチ数列、アナグラム、テンプル騎士団、アイザック・ニュートン、シオン修道会、オプス・デイ、薔薇、タロット、金星・・・。

本作はフィクションですが、冒頭に「この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている」とあり、物議を醸したと言われています。まあそうでしょう(笑)。でも専門知識が無い人にとっては、真実だと思ってしまうような説得力があります。

心躍る聖杯への探究、フランスからイギリスへの芸術探訪を、本作を介して擬似体験できた事に礼を言いたい。

気に入ったフレーズ・名言(抜粋)

新興勢力が既存の象徴を奪い、それを長期間貶めて元の意味を消し去ろうとする。異教の象徴とキリスト教の象徴の戦いでは、異教が敗れました。ポセイドンの三叉の矛は悪魔の槍に、老賢女のとんがり帽子は魔女の象徴に、そして金星の五芒星は悪魔のしるしになったのです

ロバート・ラングドン
ダ・ヴィンチ・コード(上)p.72

オートマティックしか運転できないんだ!

ロバート・ラングドン
ダ・ヴィンチ・コード(中)p.11

薔薇はヴィーナスの五芒星や、方位を示す羅針盤と結びついている。ちなみに、薔薇を表す単語は、英語でも、フランス語でも、ドイツ語でも、その他多くの言語でも”rose”だ。

リー・ティービング
ダ・ヴィンチ・コード(中)p.173

歴史はつねに勝者によって記されるということだ。ふたつの文化が衝突して、一方が敗れ去ると、勝った側は歴史書を書き著す。みずからの大義を強調し、征服した相手を貶める内容のものを。ナポレオンはこう言っている。”歴史とは、合意の上に成り立つ作り話にほかならない”と。

リー・ティービング
ダ・ヴィンチ・コード(中)p.176

汝が聖杯を見つけるのではなく、聖杯が汝を見いだすのである。

ダ・ヴィンチ・コード(中)
p.210

祖父を殺した人間に誓いを立てられるはずがないわ。誓えるのは、あなたを監獄送りにすることだけよ

ソフィー・ヌヴー
ダ・ヴィンチ・コード(下)p.186

ぜひ書きあげてね、ミスター・ラングドン。彼女の歌をうたってちょうだい。世界は現代の吟遊詩人を求めているのよ

マリー・ショウベル
ダ・ヴィンチ・コード(下)p.246

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