燃えよ剣

ハードボイルド

こんにちは。ポメラニ・アンパンです。8月ですね!8月に入った途端、今年は雨がピタッと止み、太陽が燦々と輝き、猛暑酷暑を記録してます!

僕は夏の雲を見つつ、「ああ、夏だなぁ・・・。暑いなあ」と呟く毎日。みんな、体調には気をつけるんだぞ!暑い時には水分補給と塩!食欲なくても食うんだぞ!

8月といえばどこか行くにはちょうど良い季節。しかし、今年はコロナの影響で少し躊躇してる人も多いでしょう。そんな時は、時代小説を左手に、Google マップを右手に読書を楽しむのも乙なもんですぜ!

今回紹介するのは不朽の名作、司馬遼太郎大先生の『燃えよ剣』です!喧嘩大好き、剣に燃え、戦に燃え尽きた男、土方歳三の半生を描いた作品です!

武州多摩石田村(今の日野市)から江戸、京都、大阪、流山、会津、函館と場所を転戦する土方歳三の戦い、地図を見ながら読むとまた別の楽しさもありますよ〜!

この本を読んだきっかけ

本屋でふと本作の表紙を見たとき、『あ、そういえば司馬遼太郎の作品読んだ事無いなぁ・・・』と思い、手にとって眺めてみました。新選組ものであればとっつきやすいだろうと思い、まあ読んでみるかと購入したのでした。

あらすじ

幕末、300年続く江戸幕府は、武家(徳川家)が統治していた政治体制。しかし、世界は江戸幕府が立ち上がった頃に比べて急速に情勢が変わってきていた。

鎖国を続ける江戸幕府のやり方に異を唱える勢力が出始める。それまでは江戸幕府の庇護のもと、緩やかに時代が流れるに任せていたが、300年も経つとそれが通用しなくなっていた。

尊王攘夷。天皇に権利を返し、夷狄(諸外国)を打ち払う。江戸幕府の鎖国体制を続けていては、諸外国を打ち払う力を得ることはできないと考える人々が出始め、尊王攘夷は一種のスローガンとして流行し始めていた・・・。


武州多摩(現在の日野市にあたる)石田村出身の漢、土方歳三。日本に生まれたのなら、その名ぐらいは聞いた事があるだろう。言わずと知れた、新選組の副長である土方歳三が、本作の主人公だ。本作は土方歳三が地元の多摩から京都に上洛し、新選組を組織。過激な尊王攘夷志士や反幕の動きのある者を討伐する会津藩預かりの組織として活躍。その後、次第に薩長を主軸とした官軍と旧江戸幕府軍の戦という構図で戊辰戦争に突入。土方歳三は己の命が尽きるまで、最後まで戦いぬく。本作はそんな土方歳三の戦いと恋を描いた傑作である。

バラガキ(薔薇のような危ないガキ)と呼ばれ、喧嘩と女遊びでその悪名を轟かせる少年だった土方歳三。喧嘩においては綿密な下調べを怠らず、知略と腕っ節を駆使して敵を撃滅する事を至上の喜びとした。女に至っては、身分の高い女に興味があり、夜這いをかけた。そんなバラガキ=土方歳三は近藤勇沖田総司永倉新八山南敬助原田左之助らが出入りする天然理心流剣術道場=試衛場にて剣術を学んでいた。試衛場に出入りする彼らが、後に京の街に血の雨を降らせる新選組のコアメンバーとなる。中でも、人におだてられ乗せられると遺憾無く力を発揮する近藤勇、生来の喧嘩好きの土方歳三、常にカラカラと笑顔を絶やさない沖田総司の3人は互いに出身地も近く、その結びつきは強い。

武州では甲源一刀流の七里研之助一派との対決を経て、土方歳三が活躍する舞台が江戸から京都へ移る機会が訪れる。永倉新八や藤堂平助が聞き及んできた情報で、江戸幕府が浪士組に参加する者を募集しているというのだ。この頃京の町にて、過激な尊王攘夷思想の志士達が乱暴狼藉を働き、刃傷沙汰が頻発していて、幕府としては悩みの種。そこで幕府は清河八郎を代表として浪士組を組織し、京都の治安を回復させる狙いだった。

折しも、この頃ハシカコレラが流行。近藤の試衛場付近にも感染者が出たということで道場の経営も危うくなってきた。このままでは道場の経営はおろか、自分たちの飯にも困る日々が来ると悩んだ近藤勇にとって、永倉新八らが持ってきた浪士組募集の案件は、まさに渡りに船だった。

こうして近藤勇ら一行は京都へ。京都にて、浪士組の代表者である清河八郎が、突然の趣旨替えを言い渡す。つまり、幕府の使いとして人を集めておいて、実は倒幕のために人を集めたと言うのである。これには従うことはできないと近藤らは清河八郎と手を切り、水戸出身の藩士である芹沢鴨と組む。土方歳三の案で、芹沢の人脈を使い幕府の警察にあたる京都守護職の会津松平家に渡をつけることに成功する。これにて、晴れてより幕府会津藩預かりの治安維持組織『新選組』が誕生。

新選組が結成されて間もなく、芹沢鴨一派の素行不良が看過できない水準に達した。酒を飲んで暴れるのは序の口。揉めた末、大砲を持ち出し市中にも関わらず砲撃して家屋を破壊してしまった。土方歳三と近藤勇は相談の末、芹沢鴨一派を始末した。これにて近藤勇を局長、土方歳三を副長とする新選組の基礎が出来上がる。また、このタイミングで土方歳三の助勤役として後の三番隊組長にして、土方歳三のほぼ最終局面まで共に戦いぬく斎藤一も入隊している。

江戸幕府体制の維持か、尊王攘夷派が主張する新しい体制を築くべきか・・・土方歳三にとってはいずれも大きな興味がなく、あるのはただ純粋なる闘争心。生来の喧嘩師は、政局が変わろうと戦える場があればこそ輝く人物。そんな人物が『近藤勇を支えると共に、新選組を強力無比な組織にする』という信念で動くのだ。名実ともに新選組は尊王攘夷派の志士らの間ではその名を聞くだけで震えあがるほどの成果をあげてゆく。300年間惰眠を貪っていた形だけの武士など笑止千万、と言わんばかりに土方歳三が目指したのは、古来太平記から関ヶ原以前に活躍した心身共に精強な戦国武者のありようそのものだった。なかでも土方歳三が制定した局中法度(新選組隊士が守らなければならないルール)は厳粛を極めた。【個人的な争いはするな】、【他人から金を借りるな】などはわかるとしても【新選組からの脱退は許されない】、【敵前逃亡は士道不覚悟】はかなり厳しい。いずれもこれらを破った者は切腹!しかし、土方歳三にとって新選組は最強の組織たらんとする信念が、このような決まりを作り、その決まりが新選組を強力無比な組織にしたと言えなくもない。

池田屋事件蛤御門の変を経て、人々の間にも新選組の雷鳴は轟いた。ピーク時、一番隊から十番隊まで組織された新選組は、毎日交代で京都の街を巡回し、維新志士や狼藉者、過激な尊王攘夷派を斬って斬って斬りまくった。また、隊内に相応しくない者(士道不覚悟、脱隊を試みた者、スパイ疑惑のあった者)なども容赦無く斬った。

こうして新選組が活躍し、尊王攘夷派の筆頭格の長州藩を退けたものの、時代の流れか薩摩藩と長州藩が組むという衝撃的な展開に江戸幕府側は驚く。これには本作ではクローズアップされていないが、土佐藩の坂本龍馬の活躍があったのだろう。

これにより幕府側は次第に不利に傾いてゆく。この状況下で新選組もとるべき道を選択しなければならない。いきがかりとはいえ、佐幕(幕府を支える)勢力となった新選組。悩む近藤に土方歳三は主張した。政局や時勢によって立場をコロコロ変えるのは男が廃る。新選組は例え天皇に弓引こうと、朝敵となり、全てが的に回ったとしても最後に一兵まで徳川家を支えようではないか、と。

こうして戊辰戦争に突入する。薩摩長州連合は天皇より錦の御旗を賜り、官軍となる。これにより江戸幕府側が賊軍となり、これを佐幕派だった藩の中にも官軍に願える動きが出てきた。これに輪をかけたのが、徳川慶喜の大阪城離脱。幕府の頂点たる者が、拠点である大阪城を秘密裏に脱出し江戸に帰ってしまった。

以後、再起を計ろうとするが、近藤勇が官軍に捕らえられ斬首、永倉新八らの離脱、沖田総司の病没と、土方歳三の周りの隊士は一人また一人と離れてゆく。

そんな折に出会った女、お雪とはそれまで出会ったどの女よりも、深く純粋な思いを土方歳三の中に見出した。京都、大阪、函館と転戦する土方歳三の前に現れては短い時間を共有する二人。鬼と恐れられた男が見せる、少年のような純愛が眩しい。

事実上新選組が解散した後も、土方歳三は戦い続ける。生来の喧嘩師は、貪欲に最新情報を取り入れ実践してゆく柔軟性も持ち合わせていた。ミニエー銃で武装し西洋式軍隊術を取り入れる、大砲を調達するなども積極的に実践した。もちろん、ここぞという時は自ら愛刀であるノサダ=和泉守兼定を抜き、敵陣に斬り込んだ。

だが戦局は土方歳三の意に反し、官軍有利に働く。土方歳三が指揮をとった隊は精強無比だったが、それ以外の隊が官軍に追い詰められる。

最後の戦いは北海道函館の五稜郭。戦局から読み取るに勝ち目がないことを悟った土方歳三は、単身銃で武装された官軍の中に突撃をかけ、その命を燃やし尽くした。

この作品の要素・成分 (最低値=1 最高値:10)

雰囲気

幕末、斬り合い、喧嘩、勝負、夜這い、男たちの仲間意識、田舎者、動乱の京都、時代の移り変わり、腕が飛ぶ、首が落ちる、血、刀、銃、船、大砲、外国人、侍魂、滅びの美学。

読みやすさ:10 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

時代劇小説にありがちな、難しい言葉や言い回しがほとんどなく、スラスラ読める。難解な言葉や当時の地名、身分や生活様式なども現代の読者が理解できるような例えを使って説明してくれている。さらに著者の解説やエピソード、取材談話などを取り入れ、読者が止まることなく読めるよう配慮されている。結果、むちゃくちゃ読みやすい。

ワクワク度:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

田舎のバラガキが京都で人斬り、そして戦争へと向かってゆく人生。土方歳三とその周りの人間が、物語をぐらんぐらんと転がして、読者が飽きる間を与えない。歴史に詳しい人なら展開が読めるかもしれないが、それでもワクワクするだろう。

ハラハラ度:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

新選組は発足当時から問題を抱え、近藤土方体制になっても隊士の出入りが多かったようだ。裏切り者、スパイも常に心配事として考慮しておかねばならず、新選組という組織だけ見ていてもハラハラする。

加えて新選組を取り巻く政局も超絶不安定時期だから、当時の人々の不安ははかり知れなかっただろうと思った。

食欲増幅度:2 ⭐️⭐️

印象的な食事シーンは、近藤の嫁が作った飯がまずいと思っている土方歳三。

胸キュン:6 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

バラガキ、鬼、と言われた土方歳三。良い女と見るや夜這いも何のその。そんな男が、お雪にだけは、読んでいるこっちが小っ恥ずかしくなるようなアプローチ。

ああもう・・・僕絶対ニヤニヤして読んでたと思う。

ページをめくる加速度:9 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

読みやすいし先がきになるからドンドン行ける。

希望度:4 ⭐️⭐️⭐️⭐️

希望が無く、勝ち目のない戦いにも「引かぬ、媚びぬ、省みぬ」とどこかで聞いたことなるセリフを思い出すほど土方歳三という男、戦いに愚直そして不敗。生き様を見せつけてくれた。それが希望とは言えないかもしれないが、男としてカッコイイなと思ってしまう。

絶望度:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

もし自分が土方歳三の立場だったらと思うと、相当な絶望的状況だったと思う。心を開いた数少ない友人である近藤勇と沖田総司がいなくなり、自分たちが属する幕府は露へ消えようとしている。それなのに戦い続けられたのは、本作でも書かれているように土方歳三という男、アーティストのごとき精神構造だからかもしれない。アーティストはやりたくてやっている。土方歳三も戦いたくて戦っている。本作で描かれている土方歳三は絶望感とはおそらく無縁だったのかもしれない。

残酷度:6 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

腕や首が飛ぶのは当たり前。血飛沫、銃創、刀傷。切腹を命じたり、大砲によってバラバラになったり。

それにしても時代だったとはいえ京都の市中で、人が斬り殺されるのが日常だったというのはにわかに信じがたい。時代劇物を読んでていつも思う。

恐怖度:1 ⭐️

土方歳三含め、新選組の面々が強すぎるので、恐怖は無い。

ためになる:6 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

歴史を辿れる。本作は小説なので、すべてが史実ではないが、実在の人物や地名、当時の政局が忠実に描かれていると感じた。著者の司馬遼太郎さんは実際に土方の縁者に取材しに行ったそうだ。

また、土方歳三が戦った戦歴をたどる聖地巡礼をしたくなった。

泣ける:3 ⭐️⭐️⭐️

男泣き。近藤勇の、リーダーとして政界に顔を出さねばならずそれによってブレてしまった男の悲しみと末路、それを止められなかった土方歳三。あのくだりは切なかった。

読後感:5 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

色々な人が名作だと言っている意味がわかった。僕にとっては時代小説というより、ハードボイルド小説という印象。一人の男がブレる事なく、己の信念を貫き通す。やはりそれが美しいと感じてしまうのは、自分がそうできていない憧れからなのか。

誰かに語りたい:3 ⭐️⭐️⭐️

あえて僕が語る必要もない超有名な作品。今年また映画が出るみたい。

なぞ度:4 ⭐️⭐️⭐️⭐️

謎というか気になる存在はやはり三番隊組長にして土方歳三の懐刀?のような斎藤一。局中法度を破った隊士を暗殺したのも斎藤一の手によるところが多いという説もある。

さらに、永倉新八が弟子に言った「沖田総司は猛者の剣、斎藤一は無敵の剣」の言葉を真に受けるなら相当の強者だろう。しかも、転戦する土方歳三に途中で再合流を果たすのだが、土方歳三と斎藤一の関係を示す描写がほとんど無く、どういう間柄だったのか気になる。

静謐度:4 ⭐️⭐️⭐️⭐️

月夜の夜、静まりかえった描写は、ありありとその情景が想像できる。静謐なシーンは、本当に静か。

笑える度:5 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

土方歳三が作る俳句、沖田総司が下手だと笑うが、本当に笑ってしまった。「ありきたりの言葉が連なってるだけ」と酷評されているが、その通りなのだ。

このような抜けがある人物、魅力的に思えるのは不思議だなぁ。

切ない:6 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

男と男の切なさ。男と女の切なさ。

エロス:2 ⭐️⭐️

夜這い。お雪とのシーン。それ自体あまり露骨な描写はない。

データ

タイトル燃えよ剣
著者司馬遼太郎
発行元新潮文庫
コード(上)ISBN4-10-115208-X
(下)ISBN4-10-115209-8

まとめ

いや〜、楽しく読めた〜!!こう言ってはなんですが僕、司馬遼太郎さんの作品を今まで読んだ事がなかったんです。いつもの天邪鬼根性で、「大ベストセラーだし、今あえて読まなくても良いか」って思ってたんです。でも、ふと古本屋さんで目に入った時、ふと読んでみたくなったんですね。本当に、本って読みどきがあります!読みたくなった時が読みどき。

多くの人が名作と称し、何度も映画化される理由が分かりますね。新選組ブームを巻き起こした火付け役作品という事もあり、この作品から「沖田総司は病弱な美男子」というイメージを植え付けたと聞きます。

それにしても本作の土方歳三、良いですね!!こういう組織の顔役を補佐したり、裏で手を汚す役、嫌われ役を買ってでる男は大好きですね。

僕が大好きな北方謙三さんの『水滸伝』でも、公孫勝という人物がいます。梁山泊の頭領である宋江や晁蓋に汚れ仕事はさせられない、と汚れ仕事や工作を専門で行う部隊を組織するんですよね。なんとなく、似ています!

あと、僕にとって新選組とは漫画『るろうに剣心』のライバルキャラとして登場した斎藤一のイメージが鮮烈でした。『るろうに剣心』では新選組についてはほんの少ししか触れられていなかったため、本作で新選組発足や具体的な活躍、その後が分かって色々繋がりましたね。

そう、それで斎藤一は本作ではどんな活躍をするか気にしながら読んだのですが、まあ沖田総司や近藤勇に比べて描写が少ない!!結局、新選組屈指の実力者ながら謎の人物で終わってますね。まあ、だから漫画でアレンジしやすかったのかもしれませんが・・・。

というわけで、本作『燃えよ剣』が僕の司馬遼太郎作品の最初の読書となりました!!

気に入ったフレーズ・名言(抜粋)

しずまっては、たまるまい。この乱世で、うかうか気をしずめていては、たちどころに白刃を受ける。あんたも、そんな妙な鋳型を学んで、関東のあらえびすの気概をわすれてもらってはこまる。

土方歳三
燃えよ剣 (上)p.242

罪あるは斬る。怖懦なるは斬る。隊法を乱す者は斬る。隊の名を穢す者は斬る。これ以外に、新選組を富岳(富士山)の重きにおく法はない

土方歳三
燃えよ剣 (上)p.248

(過去の綺羅を褪せさせぬためには、別の場所を用意して逢うべきであった)  過去には、それだけの用心と知恵が必要だと思った。

燃えよ剣 (上)p.285

総司、おれは隊長じゃねえ。副長だ。副長が、すべての憎しみをかぶる。いつも隊長をいい子にしておく。新選組てものはね、本来、烏合の衆だ。ちょっと弛めれば、いつでもばらばらになるようにできているんだ。

土方歳三
燃えよ剣 (上)p.415

歴史というものは変転してゆく。そのなかで、万世に易らざるものは、その時代その時代に節義を守った男の名だ。新選組はこのさい、節義の集団ということにしたい。たとえ御家門、御親藩、譜代大名、旗本八万騎が徳川家に背をむけようと弓をひこうと、新選組は裏切らぬ。最後のひとりになっても、裏切らぬ。

土方歳三 
燃えよ剣 (下) P.70

刀とは、工匠が、人を斬る目的のためのみ作ったものだ。刀の性分、目的というのは、単純明快なものだ。兵書とおなじく、敵を破る、という思想だけのものである。しかし見ろ、この単純の美しさを。刀は、美人よりもうつくしい。美人は見ていても心はひきしまらぬが、刀のうつくしさは、厳然として男子の鉄腸をひきしめる。目的は単純であるべきである。思想は単純であるべきである。新選組は節義にのみ生きるべきである。

土方歳三
燃えよ剣 (下)p.84

男の一生というものは 美しさを作るためのものだ、自分の。

そう信じている

土方歳三 
燃えよ剣 (下)p.86

勝てるか勝てないか、やってみなければわからないよ。おらァもう、勝敗は考えない。ただ命あるかぎり戦う。どうやらおれのおもしろい人生が、やっと幕をあけたようだ。

土方歳三
燃えよ剣 (下)p.269

二股の攻防戦では、歳三はほとんど芸術家的昂奮でこの戦さを創造した。血と刀と弾薬が、歳三の芸術の材料であった。

燃えよ剣 (下)p.449

いま申したはずだ。新選組副長が参謀府へ用がありとすれば、斬り込みにゆくだけよ

土方歳三
燃えよ剣 (下)p.468

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