どうも、こんにちは。ポメラニ・アンパンです。気がつけば11月!今年、あと1ヶ月しか無いの〜?!って感じで時が経つのは早い!ちょっぴり寒くなった今日この頃。あなたはいかがお過ごしでしょうか?
10月は仕事が少し忙しくなり、なかなか落ち着かない状況でした。今は少し落ち着いて、また年末に向けて忙しくなりそうな予感。そんなわけで積読も増えるし、読みたい本は増すばかりなんですが、とりあえずは元気に日々を生きております!
そして今日の内容はハイペリオンシリーズ、その最終章を飾る『エンディミオンの覚醒』です。
前作エンディミオンから続く本作。宇宙をまたぎ、時間を遡り、追われ追い求め、出会いと別れと愛の物語。アメリカの作家ダン・シモンズが圧倒的な筆力で描き切ったSF叙事詩最終章!!
読んだきっかけ
もうね、『エンディミオン』が最高に面白くて止まりませんでした。エンディミオンからすぐに本作『エンディミオンの覚醒』を読み始めましたね。
『ハイペリオン』および『ハイペリオンの没落』、『エンディミオン』についての感想はこちら↓
あらすじ
<文庫本(上巻)背表紙より抜粋>
人類がカトリック教会、パクスの支配下に置かれた32世紀。惑星ハイペリオンの青年エンディミオンは、老詩人サイリーナスの依頼で<時間の墓標>から現れた少女アイネイアーをパクスの手から守りぬき、地球にたどりついた。それから4年、アイネイアーは、人類の救世主たる自らの使命を果たすべくパクス支配領域への帰還を決意する。そして彼女と行動をともにしてきたエンディミオンもまた新たな冒険へと旅立つが・・・・・・
ロール・エンディミオン、アイネイアー、Aべティックの三人はデ・ソヤ神父大佐をはじめとするパクス勢力からの追跡を、危機一髪の状況で回避し、ついに<オールド・アース>にたどり着く。
砂嵐が吹き荒れる中、建築家ミスター・ライトを中心に人々が生活するキャンプがあった。アイネイアーはそこでかねてより希望していた建築技術を学ぶ。時は流れ、アイネイアー達ははその地を離れなければならない時が来る。ここで、アイネイアーとロールは一旦別れ、それぞれ別行動となる。
納得できない思いを抱えながらも<教える者>アイネイアーの言葉に逆らうことができないロールは彼女の言うままカヤックに乗ってミシシッピ川にあるゲートを目指し、一人寂しくカヤックを漕ぐ。
カヤックを漕ぎながら転移した先はウィトゥス=グレイ=バリアヌスBという惑星だった。そこでロールは急に激痛に襲われる。現地の住人に助けられなんとか一名を取り留めたロール。激痛の原因はなんと腎臓結石!現地の医者の看病と大量の水を飲んで小さな石ころが出てきたところで痛みは引いた。
ほっとする間も無くパクスの追手がロールを捕らえにくるとの情報が。ウィトゥス=グレイ=バリアヌスBの住人デム=リアとデム=ロアら一行は、ロールを逃すべく力を貸してくれる。
危ういところで転移したロールが巡った先はまたもや想像を絶する光景だった・・・。大地が見えない程の高所にいることがわかるだけ。そこは雷鳴轟くどこかの惑星だった。超巨大生物が悠然と飛行する雲海。傷んだカヤックに乗ったまま右往左往するロールは巨大な生物の口中に飲み込まれたかと思ったら、今度は湿度100%の熱帯林のような場所に出る。そこでロールはずっと前に乗り捨てた<宇宙船>と再会する。意思ある宇宙船は以前ロールとアイネイアーの命令通りそこで自己修復を行なっていた。
「船の全システムは適正に機能しています。M・エンディミオン。あとは発進の指示を出してもらうだけです」
こうして、ロールを乗せた宇宙船はアイネイアーがいるという<天山>という名の惑星に向かう。
ロール、アイネイアー、A・べティック。彼らを追うデ・ソヤ神父大佐をはじめとしたパクス勢力。人と人でないもの<コア>との決着、シュライクの正体、聖十字架の謎、巡礼達、あらゆる謎が詳らかにされ、物語は終局へ向けて加速する。
この作品の要素・成分 (最低値=1 最高値:10)
雰囲気
星から星へ、追跡者、孤独な旅、疑心、失望、かつての敵が、新たなる世界、絶景、決闘、怪我、未来視、予知、復活と死、ワイン、指導者、異星生命体、大きな翼、定め、子ども、地球、愛する人
前作からの直接の続き。アイネイアーが<教える者>として頭角を表し始めると同時に、ロールは孤独な旅を強いられ、己を見つめる。離れていればいるほどアイネイアーへの想いが膨らむロール。そんな彼の葛藤が垣間見えるのも本作の魅力だが、彼の行く先々の場所が、情景を想像するだけで絶景が広がることだろう。そして、ハイペリオンから続く物語の、全ての終わりに相応しいコーダがあなたを包み込むだろう。
読みやすさ:9 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎
大冒険は続く。圧倒的に読みやすく、読者を引き摺り込む巧みは筆裁きは本作において一層増し増しになっている!ここまで読んでたらもう止まらないよ!
ワクワク度:10 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎
読むRPG中盤〜後半戦。アイネイアーの行方をうロール。様々な困難が彼を襲うがロールはめげない。行く先々で想像を絶する光景に胸を躍らし、その物語の予期せぬ事象にあなたは揺さぶられ続けるだろう。ここまでワクワクした物語は久しぶりだった!
ハラハラ度:9 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
前作中盤から登場したとんでもなく強い追跡者、ネメス。怪物じみた戦闘力を持つ彼女と同等の存在がさらに二人増えて追っかけてくる。もう、これだけでハラハラ度がやばいです。それに加え、パクス内部でも色々と・・・。
食欲増幅度:5 ⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎
大人数で食卓を囲むシーンはどんな作品であっても食欲をそそる。
胸キュン:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎⭐︎
ロールはアイネイアーを思いながらもアイネイアーの態度にヤキモキ。アイネイアーは自分の身の上の都合上ロールに全てを打ち明けられない。そんな状況を乗り越えて二人は・・・。
ページをめくる加速度:10 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ ⭐⭐️⭐️⭐︎⭐︎
前作「エンディミオン」よりさらに加速するはず。
希望度:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎
どんなに絶望的な状況に陥っても、それまでに築き上げてきた絆が未来を開く力になる。そして愛の大きさを感じずにはいられない。
絶望度:8 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
パクスも一枚岩ではなかった。凶悪な追跡者、それに立ち向かう者、そして真の黒幕とアイネイアーの定め。絶望的な局面も歯を食いしばって読め!
残酷度:9 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐️⭐️⭐︎⭐︎
壮絶!
恐怖度:6 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎
様々なシーンで怖い局面が多々ある。
ためになる:5 ⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎
心に刻みつけられる作品。人生に影響を与えるかも。
泣ける:4 ⭐️⭐️⭐︎⭐︎
涙。
読後感:9 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
とても切なく、でも嬉しいような寂しいような・・・。自分でも驚くほど登場人物たちに愛着湧いてたんだなぁと気づいた。3日くらいいわゆる「ロス」状態でした・・・。
誰かに語りたい:8 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎⭐️
いいから読めっ!って自信を持って言える作品です。
なぞ度:1 ⭐️
ほとんどの謎は明かされた。
静謐度:1 ⭐️
落ち着く暇もない。
笑える度:2 ⭐️⭐️
何気ない会話に現れるちょっとしたユーモアが良い。
切ない:7 ⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐️⭐︎⭐︎
ロールとアイネイアーを思うとね。
エロス:3 ⭐️⭐️⭐︎
ラブシーンあり。
データ
原作タイトル | THE RISE OF ENDYMION |
日本語タイトル | エンディミオンの覚醒 |
著者 | ダン・シモンズ (Dan Simmons) |
訳者 | 酒井昭伸 |
発行元 | 早川書房 |
コード | (上巻)ISBN4-15-011423-4 (下巻)ISBN4-15-011424-2 |
まとめ
読み終わった。いや、読み終わってしまったと言った方がしっくりくるかな。RPGの終盤に差し掛かり、残すところ最後の大ボスを倒すだけになった途端、ゲームを進めたくなくなる現象、経験あります?僕はそれほどないんですが、本作に至っては、少しその傾向がありました。
ネタバレになるので多くを言えませんが、中盤以降主人公サイドはパクスに対抗するため様々な勢力と連合し「さあ行くぞ!」って感じに大盛り上がりになるのですが・・・。最大の試練がやってきます。
ロール、アイネイアー、A・べティック、そしてデ・ソヤ神父。そして、「ハイペリオン」から登場していたマーティン・サイリーナスをはじめとする巡礼達。みんな本当に大好きな奴らだよ、今の僕にとっては。
読み終えた後の感想だけ言わせてもらうとすれば、「なんちゅー凄いものを読んだんだ?!僕は!」です。エンタテインメントとして考えうるかぎりのあらゆる要素を格調高く織り混ぜた比類なき小説と言えるのではないでしょうか。
冒険、ホラー、サスペンス、アクション、ファンタジー、異星人、時間旅行、死と蘇り、恋愛、アンドロイド、絆、友情、憎しみ、AI、文化、音楽、詩、キリスト教文化、中国をはじめとしたアジアの文化、仏教、日本・・・・これほど多くの要素を入れながら破綻をきたさない!それどころか、面白さに貢献しているんだからもう、たまらんですよ!
これ以上は語る術がございません。とにかく読んでみるのがよろしいかと!
気になったフレーズ・名言(抜粋)
人生ではね、最大の苦しみをもたらすものは、ごくちっぽけなものであることが多いの
アイネイアー
エンディミオンの覚醒 上巻 p.317
好きなだけひどい目にあわせるがいい!できるものならやってみろ、神々め!
ロール・エンディミオン
エンディミオンの覚醒 上巻 p.455
失礼、M・エンディミオン。いまのはわたしにいったのですか?
宇宙船
エンディミオンの覚醒 上巻 p.541
出てきた料理は、ツァンパ 炒って挽いた大麦の粉をボウの乳で作ったバター茶で練って団子にしたものや、モモー蒸した皮でキノコをつつんだ餃子のようなもの、ボウの舌の冷菜、甘いベーコン、A・べティックによれば西王母の名高い庭園でとれたという梨、等等だった。
エンディミオンの覚醒 上巻 p.634
それにしても、なんとさわやかな一日だろう。色鮮やかな蒼穹のもと、雲海をへだててそびえる北の霊山・桓山はまばゆいほどに輝き、風はおだやかだ。
エンディミオンの覚醒 上 p.662
ぼくは世界そのものにー光栄にも、これまでに訪ね、自分の足で歩いた多数の惑星にー魅了され、感動をおぼえる。だから、世界を、世界に対する自分なりの心象を捨てさりたいとは思わない。
エンディミオンの覚醒 上 p.671
足下らの定義する神なかりせば、なにゆえ宇宙は、考えることもせず、なにものにも関心を持たず、感じることもないのだ?
ダライ・ラマ
エンディミオンの覚醒 下巻 p.35
鎮痛剤は……無用だとグレゴリウス軍曹にいった……眠ったまま息絶えるのはごめんだ。静かに逝きたくはない。
デ・ソヤ神父大佐
エンディミオンの覚醒 下巻 p.237
M・エンディミオン。いまおっしゃった”人間のくだらない感情”が愛情を指すのでしたらー長いあいだ人間を見てきて、わたしにはわかっているつもりです。愛情はけっしてくだらない感情などではありません。M・アイネイアーは、愛は宇宙の主要エネルギーであると教えておられますが、これは正しいのではないかと思います。
A・べティック
エンディミオンの覚醒 下巻 p.389
オールドアースを護って。どんなことをしてでも、パクスを近づけないで。
アイネイアー
エンディミオンの覚醒 下巻 p.472
生に対するこれほどの愛着は、不死者には絶対に持つことができない。つねに死と喪失の影のもとにある者だからこそ、これほどまでに生がいとおしいのだ。
エンディミオンの覚醒 下巻 p.604
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