こんにちは、ポメラニ・アンパンです。いよいよクリスマスも終わり、今年も終わりが近づいてきましたね。
この前友人と話していたんですが、12月ってバタバタするじゃないですか。忙しい。何でかなぁ、と思ったら、クリスマスから正月まで中6日しかないんですよね!だからか!!
まあそんな感じで今年も終わりです。本はたくさん読めましたか?僕は相変わらず遅読で冊数換算すると全然読めてません。しかし、今年は自分の中の『一生忘れられない名作』に出会えたので幸せ指数上がりました!あなたはそんな本に出会えましたか? 微力ながら、本ブログがそんな出会いのお手伝いができればこれほど喜ばしい事はありません。引き続き生暖かい目で見守ってください。
さて、今回ご紹介するのは川瀬七緒さん著作の『法医昆虫学捜査官 シンクロニシティ』です。はい、季節感ガン無視の虫に関する作品です!
この、法医昆虫学捜査官シリーズ、実は第一弾を2年ほど前に読みまして、物凄く面白かったんですよ。で、続編となる本作を購入して積んでました(笑)!そして、本当に何の根拠もなくこのタイミングで読んでしまった次第。本作も前作に勝るとも劣らず面白かったので、これは紹介せねば!と思い立ち、ここにご紹介させていただく運びとなりました〜パチパチパチパチ!!
読んだきっかけ
ちょうど2年前の夏頃だったと思います。前作『法医昆虫学捜査官』を読みまして、聞き慣れない法医昆虫学というワードに興味を惹かれ、購入したのが出会いでしたね!
前作『法医昆虫学捜査官』の読書感想はこちら↓
あらすじ
《表紙裏あらすじより》
東京・葛西のトランクルームから、女性の全裸腐乱死体が発見された。現場に蠅とウジが蝟集していたことから、捜査本部は法医昆虫学者・赤堀涼子の起用を決定する。「虫の知らせ」を頼りに調査を進める彼女は、珍しい植物の種が現場で発見されたことに着目する。赤堀良子がたどり着いた驚愕の真相とは!?
南葛西署の警部補である岩楯は、発見された腐乱死体の解剖に立ち会う。死体は女性であること以外、身元は特定できないほどの酷い有様だった。岩楯は今回の捜査パートナーとして一人の巡査を指名した。27歳の若き巡査、月縞だ。彼は死体が発見されたトランクルームに一番最初にたどり着き、他の捜査員が来るまでの間、トランクルームの扉を閉めて夥しいほどの蠅やその他の虫と共に20分近く、死体と空間を共にしたという強者だ。「現場保存の鉄則です。法医昆虫学の本を読み、1匹の虫も無駄にしてはならないと法医昆虫学者が言っていた」と月縞は言う。この答えに納得し、岩楯は今回の事件を月縞と組むことにした。
死体の腐乱状況は酷く、死亡推定時刻を割り出すのも困難だった。死体には夥しいほどの蠅とウジがまとわりついていた。そこで、今回も法医昆虫学者・赤堀涼子が登場!彼女は虫の知識は当然としてそれ以上の能力がある。どんな相手にも分け隔てなく対応できるコミュニケーション能力だ。あらゆる虫の生態を知り尽くし、全ての生き物を偏見なく視ることのできる彼女だからこそ会得できたスキルかもしれない。虫の知識とコミュニケーション能力を生かし、頑固な刑事やお偉方に一歩も忖度しない彼女の行動や物言いは、痛ましい事件と重苦しい警察組織の雰囲気の中において清涼剤としての効能を読者に与えてくれる。炎天下を歩いて汗をかいた状態で入った空調の効いたコンビニ、現場仕事をした後、汗と泥で汚れたあとに入る風呂、そんな爽快感だ!
今回の事件においても彼女の視点でしか把握できない「虫」達の行動、それを読み解くことが真実に迫る唯一の鍵だ。
物語は岩楯らの所轄範囲である葛西近辺と福島県のとある農村=枯杉村でのシーンが交互に描かれていく。東京からこの地へ越してきた青年、藪木俊介。クリエイターの彼は慣れない村での生活の中でも、心地よい部分とそうでない部分を両方知りながら暮らしてゆく中で、日浦瑞稀と出会う。瑞稀は、藪木が夢で見た死んだ女に似ていた。
一見、全く関係のなさそうな葛西と枯杉村。170Kmを隔てたこの2地点を結びつけるものは何か。
現場に残された虫達の足跡から赤堀涼子は何を読み取るか!?
この作品の要素・成分 (最低値=1 最高値:10)
雰囲気
ウジ、蠅、腐乱死体、大量の、警察、解剖、臓器、人形、殴打、農村、トンボ、半陰陽、アスクレピオスの杖、過疎、人身御供、臓器移植、オオヤスデ・・・・。
今回も冒頭に大量のウジのシーンが・・・。ここさえ突破できれば大丈夫です!今回登場する岩楯の相棒の月縞巡査はイケメン、無気力系に見えますが真面目な部分を根っこに持っていて読めば読むほど好感が持てます。
読みやすさ:9 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
前作に増してストーリーのテンポが良いので、驚くほどどんどん読めます。
ワクワク度:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
赤堀涼子の視点が、本当に面白くて先が気になって仕方がないほどワクワクする。
ハラハラ度:9 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
今回も犯人を追い込むとピンチに!!
食欲増幅度:−2 ☠️☠️
大半の人は食欲を無くす小説だよ(笑)。
冒険度:6 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎
岩楯・月縞、今回は操作範囲が広く、軽く冒険的な部分もある。
胸キュン:4 ⭐️⭐️⭐︎⭐︎
恋愛までいかないが、男女の仲。
血湧き肉躍る:4 ⭐️⭐️⭐️⭐️
今回は割と荒事は抑えめ。
希望度:6 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐️
死んでほしくない人が死ななかった。うむ。
絶望度:3 ⭐️⭐️⭐️
今回は事件的にそこまでの絶望感はなかったかな・・・。
残酷度:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎
死体の描写は残酷というよりグロさが勝る。
恐怖度:4 ⭐️⭐️⭐️⭐️
最も恐ろしいのは人の歪んだ心。
ためになる:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
今回もまた僕の知らない虫について、赤堀先生が解説してくれる。虫、すげーってなるよ。
泣ける:1 ⭐️
あんまり泣く要素は無いかなぁ。
ハッピーエンド:4 ⭐️⭐️⭐️⭐︎
前作よりは良い後味で終わる。
誰かに語りたい:5 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
シリーズものだから他メディア展開してほしくもあるが、アニメやドラマ化するには大変だろうな・・・。民法じゃ無理だろうけど今はNETFLIXとかHuluあるからそっち方面でならワンチャンある?!
なぞ度:5 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎
今回も全く犯人わからなかった!!
静謐度:3 ⭐️⭐️⭐︎
農村の静けさが感じられた。
笑える度:4 ⭐️⭐️⭐️⭐︎
赤堀せんせーが本作の陰湿な雰囲気を祓える光なのだ。
切ない:3 ⭐️⭐️⭐️
瑞稀ちゃん・・・
エロス:1 ⭐️
エロさはほとんど無い。
データ
タイトル | シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官 |
著者 | 川瀬七緒 |
発行元 | 講談社 |
コード | ISBN978-4-06-293138-0 |
まとめ
法医昆虫学捜査官シリーズ第2弾シンクロニシティ、読み終えました!今作もあっという間に読了してしまいました。
今回は前作の功績を評価されてか、警察側も法医昆虫学が犯罪捜査の役に立つ事を分かっていて、捜査の早い段階から赤堀涼子の加入を認めています。前作に比べて大きな進歩です!
本作(本シリーズ)の魅力は何といっても法医昆虫学捜査官の赤堀涼子センセイその人でしょう。タイトルが示すように赤堀が主人公っぽいんですが、本シリーズの主人公は岩楯警部補。法医昆虫学は日本ではあまりにも馴染みがないので、赤堀が主人公で物語が赤堀目線で展開されていようものなら、僕ら読者としては感情移入しにくかったでしょう。岩楯警部補は法医昆虫学についてはそこまで詳しくない普通の刑事さん。岩楯の目線で物語が展開するので、読者としても比較的馴染み深い視点で事件を追えるし、赤堀涼子の強烈なキャラクターと法医昆虫学の凄さが岩楯を通してわかる、この構図が実に上手いですよね!!
今作も前作を凌ぐ面白さ。事件の真犯人、僕はやっぱり今作も全く検討外れの人を想像してて、真犯人の正体が分かったとき、「ああ!!盲点だった〜!!!」と著者の策略にまんまと乗せられました(笑)!これ、初見で当てれる人いるのかなぁ?
そんなわけで、推理好きな人もそうで無い人も楽しめる作品だと思います!僕は本作でまたこのシリーズが好きになりました。
気になったフレーズ・名言(抜粋)
ともかく、ようこそ虫の縄張りへって言わせてもらう。ちなみにきみは、昆虫恐怖症の気があるかな?今までに虫が原因でショック状態に陥ったとか、家族に異常な虫嫌いがいるとか、岩楯刑事みたいに、クモを見ただけで死にそうになるとか。
赤堀涼子
法医昆虫学捜査官 シンクロニシティ p.47
俊介、人にはみんな、気づきの頃合いってもんがある。いっしょけんめ走って追っかけなくても、必ず向こうからやってくんだ。じいっと待ってるだけでいいのに、なんでみんな急ぐんだっぺなあ。
タエ
法医昆虫学捜査官 シンクロニシティ p.161
馬鹿になれないやつは、本当の馬鹿だけだ。
岩楯
法医昆虫学捜査官 シンクロニシティp.194
いかなる場所でも、この女なら平然と生きていけるのだろう。あらためてそう思い知らされる。虫が赤堀を全面的にバックアップしていた。
法医昆虫学捜査官 シンクロニシティ p.297
虫は湿度専用の感覚器官をもってるし、気圧も測れるからね。最新の気象予報システムよりも、精度が高いと思うな
赤堀涼子
法医昆虫学捜査官 シンクロニシティ p.310
どこに住んでも一緒でしょ?つらいことがあって、悲しいことがあって、嬉しいことも楽しいこともある。環境が変わっても、人がやることなんて何も変わらない。あなたもそうじゃない?
日浦瑞希
シンクロニシティ p.326
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