サバイバー

カルト

こんにちは。ポメラニ・アンパンです。

楽しいゴールデンウィークが終わってしまいましたね。エンジョイしましたか?あるいはお仕事でしたか?僕は幸いなことにお休みをいただいておりましたが、半分が食う寝るぼーっとする、の連続で貴重な連休が溶けました・・・。まあ、それが人間らしいと思うようにしてくよくよしないことにしました!

さて今回紹介する作品はチャック・パラニューク『サバイバー』です。


<あらすじ 裏表紙より抜粋>

上空で燃料が底をつき、エンジンが一基ずつ停止を始めた航空機のコクピット。ただ独り残ったハイジャック犯である僕は、ブラックボックスに自身の半生を物語る。

カルト教団で過ごした過去。外の世界での奉仕活動。とある電話を通じて狂い始める日常。集団自殺で崩壊した教団の生き残りとしてメディアから持て囃される狂騒。

それら全てが最悪の方向へ転んでしまった人生を・・・『ファイト・クラブ』を超える傑作カルト小説。

作品情報

原作タイトルSURVIVOR
日本語タイトルサバイバー
著者チャック・パラニューク (Chuck Palahniuk)
訳者池田真紀子
発行元早川書房
コードISBN978-4-15-041491-7

本作に含まれる要素

カルト教団、宗教、ハイジャック、長男のみ結婚、集団自殺、奉仕活動、孤独、相談の電話、掃除、煽り立てるメディア、予言、外の世界、アメリカ、暴力、分かり合えない

感想

著者の『ファイト・クラブ』がかなり不思議な魅力を持った作品だったので、本作は自然に興味を持っていました。何かのきっかけで本屋さんに行った時に購入し、しばらく積んでいました。

読み始めると、不思議な魅力によって最後まで読みました。この魅力というのは、「生きるために前向きになる」とか「自分も頑張ろう」という方向性とは全く違う魅力です。

カルト教団の唯一の生き残りである主人公は、外の世界(僕らが生きる日常)で奉仕活動を行いながら、ひっそりと暮らしていた。とある夫婦の家を毎日掃除をする日々。スケジュールはあらかじめ決められている。

そんな主人公をとりまく状況や、主人公の過去と心の奥底の葛藤が、読者の僕を惹きつけるのか。

物語途中、未来を予言できる女との出会いから主人公の日常は大きく変わる。日常は変わり、周囲の人間は変わっても、全てがお膳立ての日々。主人公のどうしようもない孤独感は解消されることはない。

飼っていた金魚の死、唯一の肉親だった兄との決別の果てに・・・。

読後感は決して良いとは言えない作品ですが、人間の悲しみと暴力性、弱さ、卑しさ、空虚、それらをミックスして塗り固めた物語なのに、そこに一筋、生きることの真理があるように思えました。

個人的には本作を読むと少し心が強くなる気がします。

気になったフレーズ・名言(抜粋)

肩を落としたり、世をはかなんだりするのはあと回しにしましょ。一分ごとにあたしの懐がさむくなっていってるいまはとりあえずやめて

ファーティリティ
サバイバー p.35

この世は、起きるタイミングをうかがってる災難だ。

サバイバーp.76

骨格は、肉を床に落とさないための手段にすぎない。

汗は、体温を下げる手段にすぎない。

サバイバー p.236

人が忘れがちなのは、どこへも行き着かない道もやはり一歩から始まることだ。

サバイバー p.238

生きているかぎり、僕らにできるすべては間違っている。

自分ではコントロールできない気分だ。どこかへ運ばれていく気分だ。

どこかヘ移動する途中じゃない。僕らは処理されている最中だ。ただ待っているだけ。あとは時間の問題だ。

サバイバー p.288

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