こんにちは。ポメラニ・アンパンです。
先日も暑い暑いとのたうってましたが、何なのこの暑さ!!もう、いいかげんにして!
と叫びたくなる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
もしかしたら、このブログ見てくれてる人で、日本じゃない地域に住んでいて「それほど暑くないわ」なんて思ってる人がいたりするんでしょうか。そんな人には僕の暑さを分けてあげたい!切実に!!!
ああ、ともかく日本は貧困度合いもここ最近どんどん上がってきてるし、夏の気温も上がってる気がするし、住みよい国ではなくなるのでしょうか。
とまあ色々考えても僕にできることは何もないです。ここで、日々読んだ本の感想を書くくらいしかできないので、書きます。願わくば、いくらかでも読者の皆様の暇つぶしくらいには貢献できてるといいのですが・・・。
さて、今回もまたパンデミックものの作品になります。イギリスの若き女性作家クリスティーナ・スウィーニー=ビアードの『男たちを知らない女』です。
<あらすじ 裏表紙より抜粋>
災厄は英国、グラスゴーから始まった。救急外来に来た男性が次々に死んでいったのだ。最初は一般的なインフルエンザの症状に思えたが、男だけが数日で息を引きとってしまう。男児は生まれてすぐ死んでいき、免疫のある男性は十人に一人。この恐るべき疫病はまたたくまに広がり、やがて全世界で人類の半分が亡くなった。
愛する者を失い、男性のいない新しい世界を生きていく女たち。衝撃の近未来破滅SF。
作品情報
原作タイトル | The End of Men |
日本語タイトル | 男たちを知らない女 |
著者 | クリスティーナ・スウィーニー=ビアード (Chiristina Sweeney-Baird) |
訳者 | 大谷真弓 |
発行 | 早川書房 |
コード | ISBN978-4-15-012358-1 |
本作に含まれる要素
パンデミック、混乱、隔離、空気感染、触れられない、死別、ジェンダー、LGBTQ、差別、免疫、嫉妬、憎しみ、友情、営利、研究、ノーベル賞、妊娠、子育て、出産、復興、労働、愛
感想
男しか発症しない疫病によってもたらされる人々の苦難の物語。本作は主人公格となる二人の女性がいるのだが、それ以外にもたくさんの女性とその家族が登場する。それぞれ立場や家族構成、職業も異なるが、全世界規模で疫病が流行していることがよくわかる構図。
それまで夫と息子の家族で平和に暮らしていた家庭に悲劇が襲う。男性だけをピンポイントに殺す疫病(感染すれば数日のうちに高熱と痙攣で死に至る)によって、多くの女性が夫や息子、父親と死別する模様が描かれる。また、感染疑いがあるため、息子や夫を守ろうと断固として隔離する話とか。
救急外来で働いていたアマンダ・マクリーン。彼女が事の異常に最初に気づいた人物。彼女は救急外来に来た男性患者のみ数日のうちに亡くなっている事に気づき、上層部の機関に報告するもまともにとりあってもらえなかった。そうこうするうちに、感染はまたたくまに広がる。
広がる感染のなかで人々はできることを精一杯やるも、その苦労に報いられるのはほんの一握り。男たちが死にゆくなか、それまで回っていた社会が回らなくなり、清掃や警官、警備など男性が8割以上を占めていた仕事に駆り出される女性たち・・・。読み進めていくうちにぐいぐい引っ張られる展開。
その他、疫病によって影響をうけ、それまでの生活を一変する女性たちの葛藤と苦悩、癒すことのできない悲しみのなかで奮闘する女性たちが数多く登場する。
未曽有の疫病が命を刈り取る中、人はいかに生きるかを改めて問われる作品だと思う。
本作は読み手が男性か女性かによっても感じ方が大きく変わる。著者は女性で、かつ登場人物の多くも女性なので、読み手が女性ならもっと共感できる部分はあると思う。
ただ、個人的にはなんかこう、ハリウッド映画っぽさを感じてしまうのよね~。パンデミックが広がって社会構造も大多数が女性になったことで変化するところまでは面白かったのが。
もし次回作が出るとしたら、男性が激減した社会で女性たちがどう世界を維持しまわしていくのかを読んでみたい。
気になったフレーズ・名言(抜粋)
夫を亡くしたからといって、家が火災に遭わないということにはならないでしょ。言いかえれば、悲劇はさらなる悲劇の免疫にはならないということ
アマンダ・マクリーン
男たちを知らない女 p.383
わたし、この質問をするのが好きなの。こんなふうに訊かれれば、亡くなった人たちが忘れられることはないって思えるでしょ。あなたがその人たちのことを覚えているし、今ではわたしの心のなかにもいる
ポピー
男たちを知らない女 p.490
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