どうも、こんにちは。ポメラニ・アンパンです。うわ〜、12月ですね!!ここ一週間で寒さが本気になってきてますね!僕も普段はくズボンを裏起毛仕様にしました!急な気候の変化で体がびっくりしないように寒暖差に気をつけてます!あなたはお変わりないですか?!
さて、今年も残すところ10日とちょっと。早い!!!
本当に年齢を重ねるごとに、一年一年が加速しているんじゃないかってくらいに思えます。心の底ではゆったりとスローライフを勤しみたいんですが、現実世界で生きているとやらなきゃならないことが、これも、あれも、それも・・・と芋づる式に増えていって、本当に自分がしたかった事は何だっけ?という状況に陥ることもあります。
そんな時、本があると、ページを開くとコンチクショウ!な現実をぶった斬ってくれるので、本はありがたい!!そんなありがたい本に出会うのは、自分の感性を信じて表紙とタイトルに反応した作品!
・・・と前置きしながらも、今回紹介する作品は、作者繋がりでまいります!!
圧倒的な作品で僕を虜にしてしまった『ハイペリオン』シリーズ!それを書いたのがアメリカの作家、ダン・シモンズです!あまりにもハイペリオンシリーズの第3章にあたる『エンディミオン』それに続く完結編『エンディミオンの覚醒』が素晴らしすぎたので、筆者の他の作品も読んでやる〜〜ってことで今回はダン・シモンズ作、『夜の子供たち』です!
読んだきっかけ
この前読んだ『エンディミオンの覚醒』が素晴らしすぎてうお〜〜!!!ダン・シモンズすげ〜よ!もっとこの作者の他の作品を読みたい!!って衝動が抑えきれず、ダン・シモンズ作品をネット通販でまとめて買ったのです。その中に本作が入っていました!
ダン・シモンズ作品の感想はこちら↓
あらすじ
<文庫本(上巻)背表紙より抜粋>
アメリカ防疫センターの女医・ケイトは、ルーマニアで重度の免疫不全を持つ孤児を見つけた。最新医学によって、彼女はその遺伝子がエイズや癌の画期的治療の鍵だと気づく。
だが、その子供はトランシルヴァニアの伝説、ドラキュラ一族にとっても特別な存在だったのだ・・・。
チャウシェスク政権崩壊直後、混乱の東欧を舞台に、医学が闇の伝説に挑むゴシック・ホラー長編。
歴史上のノンフィクション要素とファンタジー要素として特に有名なドラキュラ伝説をうまく融合させて描かれたゴシックホラーサスペンス。
ルーマニアのチャウシェスク政権下では、人口妊娠中絶が禁じられ、子供がいない夫婦には税をかけられる政策が敷かれていた。その結果、子供の数は増えるも、育児放棄が多発し孤児院には子供達が溢れかった。ロクな訓練も受けていない職員が劣悪な環境下で子供の面倒を見る・・・虐待とネグレクトが横行したのは言うまでもなかった。
チャウシェスク政権が崩壊した後、国際社会にルーマニアの孤児について知れ渡るようになり、他国からの援助が始まった。孤児たちが何人いたか、その正確な数はわからないが、健康な子供でも精神の疾患や知恵遅れといった症状を発症する例が多く、ストリートチルドレンが増加するといった社会問題は簡単に解決できる事ではない。
CDCの女医・ケイト・ニューマンもルーマニアへの支援ツアーに参加した。彼女は親から捨てられた赤ちゃんの間に広がっている病気を調査・治療すること。そんな状況下で彼女が関わった一人の赤ん坊が、彼女の運命を大きく変える。経験豊かな彼女でも原因がわからない症状を発症していたその赤ちゃんを養子として引き取ることにしたケイト。彼女は赤ちゃんをジョシュアと名づけ、困難な状況下でルーマニアから母子ともにアメリカへ帰還することに成功する。そして、アメリカの研究所にてようやく落ち着いてジョシュアの体を検査した結果、驚くべき事実が明らかになった。
一方、ルーマニア国内では数百年前から権力を有するとある一族たちの間で、とある目的のために動きが活発化しようとしていた。
CDC所属の女医ケイト・ニューマン、神父マイク・オルーク、ルーマニアの医学生ルチアン・フォルシャ、大富豪ヴァーナー・ディーコン・トレント、ケイトの元夫のトム・・・そして運命の子ジョシュア。
ジョシュアを養子にした事で一見つながりが無さそうな関係性が、結びつき、ケイトはルーマニアの闇に巻き込まれる。
雰囲気
史実、伝説、ドラキュラ、ルーマニア、チャウシェスク政権、ヴラド三世、ドラゴン騎士団、感染症、脱出、人捨て、人買い、貧困、暴力、支配、黒、暗闇、アメリカ、山登り、銃撃、追う、追われる、儀式、血・・・
医療と史実とホラーファンタジー、一見すると混ざり合いそうにないこれらの要素を絶妙な匙加減でブレンドしている本作。序盤から中盤はサスペンス要素多めなんだが、中盤以降はハリウッドのアクション+ホラーな感じ。いずれにしても暗い道を進んだり、医療研究したり、何者かに襲撃されたり、戦ったり、戦ったり、戦ったり・・・全ての状況に気を抜けない(笑)
読みやすさ:9 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎
さすがダン・シモンズと言わざるを得ない。序盤の暗い雰囲気が続くところは少しシンドイが、ケイトが出てきてからは一気に展開が加速。ケイトのはっきりとした性格の如く、物語も彼女の視点でハキハキと展開してゆくので読んでいて気持ちが良い。
ワクワク度:4 ⭐️⭐️⭐️⭐️
主人公の行動動機が積極的な理由ではなく、「やらなきゃならんからやる」というところに根差すものなので、ワクワク感とは少し違うかなぁ。
ハラハラ度:8 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
本作の大半はハラハラかも。
食欲増幅度:1 ⭐️
あまり美味しそうな料理が出てきた印象は無い。
胸キュン:1 ⭐️
それどころではない。
ページをめくる加速度:10 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ ⭐⭐️⭐️⭐︎⭐︎
特に下巻からは怒涛の如く。
希望度:5 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
何よりケイト、あんた医者なのにその身体能力どうなってんの?というほど強靭。また、その不屈な精神も好きだなぁ。実際に友人として付き合うとなると大変そうだけど。
絶望度:7 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎⭐︎
貧困から来る子供達の悲劇、ケイトの身に降りかかった事・・・重たい要素が多い。
残酷度:8 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐️⭐️⭐️
ヴラド串刺し公のエピソードが出てきますよ。う〜ん、えげつないほどの凄惨さ!
恐怖度:8 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎
この作品の凄さは、文章だけでルーマニアの国そのものが得体の知れない恐怖を醸し出している。なので、ちょっとしたシーンでも恐ろしいのだが、特に怖かったのは狭く暗いネズミが這う通路を進んでゆくシーン・・・。゚(゚´Д`゚)゚。
ためになる:5 ⭐️⭐️⭐️⭐︎⭐︎
史実も一部含まれているので読んだ後にでも興味があれば調べると良い。僕はルーマニアについては本作を読むまでは何も知らなかったよ。
泣ける:1 ⭐️
そこまで泣くシーンはなかったかなぁ。
読後感:6 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
まあ、そんな感じで終わるのね〜と思いました。
誰かに語りたい:5 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎
ドラキュラやバンパイアが好きな人は読んで損はない。
なぞ度:1 ⭐️
あの敵たちは全員どうなったんだろう・・・。
静謐度:3 ⭐️⭐️⭐︎
ヴラド公の独白シーン、静謐さというか冷静に残酷な事を語っている。嫌いじゃない。むしろ好き。
笑える度:1 ⭐️
笑えるところはあんまり無いかなあ。ルチアンのジョークもいまいち面白さがわからん。
切ない:1 ⭐️
あんまり切なさとか感じる作品ではなかった。とにかく
エロス:1 ⭐️
今作もほとんどなかった。
データ
原作タイトル | CHILDREN OF THE NIGHT |
日本語タイトル | 夜の子供達 |
著者 | ダン・シモンズ (Dan Simmons) |
訳者 | 布施由紀子 |
発行元 | 角川書房 |
コード | (上巻)ISBN4-04-271102-2 (下巻)ISBN4-04-271103-0 |
まとめ
読みました。夜の子供たち!ダン・シモンズのSFじゃ無い作品ってことで、楽しみ半分不安半分でページを開いたのですが、まあ、なんて事でしょう!!めっちゃ面白いやんけ!!
本作はドラキュラの『血を吸う』という行為を医療的にあ根拠づけしている点が面白いし、さすがダン・シモンズ!と思ってしまった。現実に存在するSCID重症複合免疫不全症は、遺伝子の疾患で、免疫機構に欠損があるため風邪などを引いてしまうと命に関わる重篤な免疫不全疾患のようだ。本作のドラキュラ一族はこの症状を持っている。そしてこの免疫不全疾患を改善するには『血を吸う』事が最も手っ取り早い、という設定。
ケイトはこの事実を発見し、〜物語の紆余曲折を経て〜敵対するドラキュラ一族の頭領との交渉の切り札として使おうとするのだが・・・。
サイエンス+サスペンス+ゴシックホラー+ノンフィクション+アクションという要素を含みつつも、破綻なく説得力を保ちつつ構築された、重厚なエンタテインメント作品だと思いました。
読了した次の日、速攻でルーマニアを調べましたもんね〜!
気になったフレーズ・名言(抜粋)
今わたしは目をあけて横たわり、トレドの鋼鉄の刃が炉と坩堝の炎に鍛えられるように、男もまた、ああした苦悩や喪失感や恐怖の坩堝で鍛えられることに思い至った。
夜の子供たち 上巻 p.115
今のわたしにとって、永遠の断罪とは、永遠の生を強いられることにほかならない。
ヴァーナー・ディーコン・トレント
夜の子供たち 下巻p.126
オオカミの遠吠え-空疎な大地に響き渡る孤独と恐怖に満ちた声-こそ、ルーマニアの心の歌なのだ。
ヴァーナー・ディーコン・トレント
夜の子供たち 下巻p.128
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